あなたのカイゴのゴカイ解消します!

いわゆる3K「キツイ」「汚い」「危険」の
イメージから、
新3K「価値」「感謝」「感動」へ。
どうしてもイメージが先行し、
正しい理解がなかなか進まない
介護のしごとについて、
2人の専門家にお話を伺いました。

お話をうかがった方

龍谷大学短期大学部
社会福祉学科教授

伊藤 優子 さん

介護施設で介護福祉士として勤務された後、介護福祉士養成校講師・厚生労働省職員を経て現職。学問として介護を改めて学び直し、すべての人に関わる社会的課題として介護人材の確保やサービスの質の向上について研究を重ねている。

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北海道老人福祉施設
協議会 会長

瀬戸 雅嗣 さん

東京で福祉新聞社の記者として活躍後、故郷の北海道にUターンし介護職に従事。デイサービスセンターの所長や社会福祉法人の施設長などを歴任し現職。この他、全国老人福祉施設協議会及び、北海道民間社会福祉事業職員共済会の副会長、札幌市老人福祉施設協議会顧問なども務めている。

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龍谷大学短期大学部 社会福祉学科教授 伊藤 優子さんに 聞きました!

介護のしごとはなぜゴカイされるの?

どんなしごとにもリスクはつきもの。
介護のしごとの一部分に焦点が当たってしまうことが問題。

介護のしごとに「キツイ」「汚い」「危険」という要素が全くないわけではありません。ただ、これは他の職業にもあてはまること。例えば、小学生の女子が将来なりたい職業の上位に入る「看護師」や「保育士」さんも患者さんや保育園児のお世話をされています。その中には体力的にキツイものや、おむつを替えるなどのいわゆる汚いとされる業務もあります。また、どんな職業でも多かれ少なかれ何らかのリスク(危険)は伴うもの。介護のしごとの一部の側面だけがフォーカスされ、マイナスイメージが先行しがちなことが問題なのではないでしょうか。それには「老い」や「老後」に対する漠然とした不安なども要因となっているのかもしれません。今は想像できなくても、全ての人は年を重ね、必ず老いを迎えます。その時に、「幸せにくらしていたい」と誰もが思うはず。そのお手伝いをする介護のしごとは、あらゆる人に必要とされる無くてはならない職業だと言えるのではないでしょうか。

介護のしごとって実際はどんなしごと?

介護のしごとは、人が幸せに生きること
を手助けし、
可能性を信じて前へと
進むしごと。

介護のしごとは主に介護を必要とする人の生活をサポート・ケアするしごとではありますが、その業務を通じ、利用者さんだけではなく、ご家族が安心して、自分らしく生き生きとくらすこともサポートしているのです。そういう意味では大変多くの人の支えとなる社会的意義のあるしごとだと言えます。また人の人生と大きく関わるので、その人の思いやこれからを想像することが求められており、毎日工夫やトライが必要となる創造性の高いしごとでもあります。その分達成感ややりがいも大きく、自分自身も人間として成長することができる、魅力あふれるしごとなのです。さらに、利用者さんがより良くくらせるよう常に未来に目を向けているので、皆さんが想像しているよりもはるかにポジティブな職業ではないかと思います。

新3K「価値」「感謝」「感動」ってホントにあるの?

もちろん!恐らく他の職種よりも、
「価値」「感謝」「感動」を濃く
深く体験できるしごとです!

繰り返しになりますが、介護職は利用者さんだけではなくそのご家族のくらしも支える役割を担っており、社会的な価値が非常に高いしごとだと言えます。また、同様に利用者さんやそのご家族から「ありがとう」と言われる機会もあります。人から直接感謝の言葉をもらえる職業の1つですね。さらに感動的な場面に遭遇する機会も多いです。私が施設で働いていた時の話ですが、会話も意思の疎通もできないという方が病院から施設に入所されました。そうと聞いていても、その方に色々と話しかけながらケアを続けていたところ、半年ほど経ったある日、突然「やかましい!」と声をあげられ、その後、とてもよくお話しされるようになりました。このことには、ご家族もびっくり! このような感動的な出来事を体験できるのも介護のしごとならではだと思います。可能性を信じて諦めない、介護のしごとの特徴が生きた素晴らしい例ですよね。高齢化社会が進む今の日本において、介護のしごとはいずれ誰もが関わりを持つ職業だとも言えます。ぜひ正しく理解し、少しでも興味を持っていただけたらと思います。

※2024年3月取材

北海道老人福祉施設協議会 会長 瀬戸 雅嗣さん に聞きました!

介護のしごとはキツくて汚くて危険なの?

私自身そう思ったことは一度も無いし、
同様に介護職従事者も全くそう思っていないはず。

介護のしごとが「キツイ」「汚い」「危険」と言われがちなことは承知していますが、私自身は介護職に従事していてそう感じたことは一度もありません。きっと、現役で職務に就いている介護従事者も思いは同じなんじゃないかな。確かに、かつては利用者さんを移動させたりするときに職員が身体を張って持ち上げたり、布おむつで排泄ケアをしていた時代もありました。でも今はそれが事故やウイルス感染の原因にもなるとされ、「ノーリフトケア」と言われる「持ち上げない介護」が提唱されたり、また優れた性能の紙おむつなども開発されているので、ケアの環境は格段に良くなっていますし、さらに進化し続けています。一度でも介護施設を訪れたことがある方はお分かりだと思うのですが、利用者さんが快適にすごせるよう工夫された、明るく清潔感のある施設の環境と、そこで楽しくやりがいを持って生き生きと働いている人たちが印象に残るはずで、マイナスなイメージはほとんど感じないと思います。

介護のしごとの環境はどうなっているの?

国や自治体が率先して環境改善を
提唱してくれるので、
他業種と比べて
改善スピードが速い。

言うまでもなく介護のしごとは公共性が高く、国や自治体がその必要性を重要視していることもあり、補助金や自治体主催の研修など、サポート体制も他業種より手厚いと感じます。私たちの協議会でも会員である各老人福祉施設の意見を取りまとめ、積極的に自治体へ働きかけることなどもしています。さらに近年はICTやロボットなどの先進技術が介護現場にどんどん生かされており、介護職員の負担が大きく軽減されています。時間に余裕が生まれる分、それぞれの利用者さんに必要な質の高いケアを提供することができますし、リフレッシュ休暇などを取ることで、しっかり働いてしっかり休む、働き方改革の実現にもつながっています。そういう意味でも「キツイ」「汚い」「危険」と言われていた時代は過去のものになっているのではないかと思います。

新3K「価値」「感謝」「感動」も含めた、介護のしごとの魅力って何?

利用者さんとそのご家族の生活を
支えながら、
自分自身も人間として
大きく成長できるしごと。

「価値」「感謝」「感動」という新3Kは、言い得て妙というか、まさに介護職はこの通りのしごとだと思います。先程も申し上げたように、介護職は公共性が高く、多くの人のくらしを支える価値あるしごとですし、直接感謝の言葉をいただける貴重なしごとです。また利用者さんが「こうしたい」と思う希望に寄り添ったケアを続けることで、いつかそれが叶ったときに大きな感動を得て、一緒に分かち合うこともできます。そして時には利用者さんを看取ることもあります。暗いイメージを抱く方もいらっしゃるかも知れませんが、私は看取りも利用者さんの幸せを作る要素だと思っています。最期の時をどう迎えたいのかを一緒に考えて準備を進め、その方が望む看取りができた時、利用者さんのご家族はもちろん、介護職員自身もある種の幸福感・達成感や、人生感が変わるほどの何か大きなものを得られるのではないかと思うのです。今後、ますます介護のしごとが必要な世の中になってきます。介護職が特別なものではなく、数ある職業選択肢の1つとしてしっかり認識されるためにも、ぜひ正しく理解していただきたいですし、時にはご自分が年を取った時にどうありたいかを考えてみることも、介護のしごとに興味を持っていただくことにつながるのではないかと思っています。

※2024年3月取材

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