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北海道庁「介護のしごと普及啓発事業」コラム

外国人介護福祉士として地域と共に歩む
北海道・芽室町にある特別養護老人ホーム「芽室けいせい苑」では、地域と連携しながら外国人介護福祉士が活躍しています。その一人が、ベトナム出身のファム・チュン・ズンさんです。彼はどのようにして介護の道を選び、日本での生活を送っているのでしょうか。
※本記事は、特別養護老人ホーム芽室けいせい苑 施設長 植松哲子氏、およびファム・チュン・ズンさんへの取材をもとに作成しました。
日本での学びと介護への道
ファム・チュン・ズンさんは平成30年に芽室けいせい苑に入り、現在33歳です。病気がちな祖父のお世話をきっかけに介護に興味を持ち高校を卒業後来日し、旭川福祉専門学校に入学し、日本語学科で1年半学習し、その後介護福祉科にて2年間学びました。
その中で4週間の施設実習を芽室けいせい苑で実施。いくつかの施設で実習を経験しましたが、就職先として当施設で働くことにしました。「最初は不安もありましたが、職員の皆さんが優しく、環境が自分に合っていると感じました」と彼は語ります。
介護の仕事を志した理由について、彼は「人と関わることが好きで、高齢者の生活を支える仕事にやりがいを感じた」と話します。介護の現場では、単に技術を身につけるだけでなく、日本の文化や考え方も学びながら、利用者に寄り添うことの大切さを日々実感しているそうです。

施設全体での受け入れとサポート体制
芽室けいせい苑では、外国人介護福祉士の受け入れにあたり、施設全体でサポートする体制を整えています。例えば、単に実習担当者が支援するのではなく、職員全員が協力し、円滑に業務を行えるよう努めています。
また、外国人介護福祉士が安心して生活できるよう、町役場と連携して公営住宅を紹介するなどの住環境の支援も行っています。「特に家族がいる場合は、日本での生活がよりスムーズになるよう、行政や地域の皆さんの協力が不可欠です」
社地域とのつながりと生活の支え
芽室町では、地域ぐるみで外国人介護福祉士を支える取り組みを進めています。ズンさんの妻は日本語が話せませんが、施設ではジョブアシスタントとしての役割を担うことで、日本の生活に慣れていく機会を提供しています。また、地域の学童保育所との交流を通じて、地元住民とも親しくなれる環境が整っています。
「地域の方々とのつながりが深まることで、日本での生活がより楽しくなります。休日には家でゲームをしたり、奥さんと散歩したりしてリラックスしています」とズンさんは笑顔で話してくれました。
今後の展望
ズンさんは、今後も介護のスキルを磨きながら、日本の介護現場で長く働き続けることを目指しています。「介護の仕事は大変ですが、利用者さんが喜んでくれる姿を見るととても嬉しいです。今は、一人一人の利用者さんにしっかり向き合いながら、自分の成長を感じられる働きをしていきたいです」と語ります。
芽室けいせい苑では、今後も外国人介護福祉士と地域が一体となった取り組みを進めていきます。特に、芽室町との強い連携を活かしながら、同法人グループのスケールメリットを活かしたサポート体制を強化し、より多くの外国人介護福祉士が安心して働ける環境づくりに取り組んでいきます。
ズンさんのような介護福祉士が安心して働ける環境を作ることが、これからの介護業界にとって大きな力となるでしょう。
