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コラム

認証事業者の取組
(組織内コミュニケーション)
北見市にある社会福祉法人きたの愛光会は北海道認証評価制度の認証事業者であり、その取組について取材しました。
組織内の円滑なコミュニケーションは、働きやすい職場環境を作るうえで欠かせません。きたの愛光会では、職員同士の意思疎通を促進し、業務の効率化や職場環境の改善を目的としたさまざまな取り組みを行っています。その中でも、特に注目すべき3つの施策について、勤続12年目を迎え、介護現場を最前線で支えるリーダー「松島 晃 さん」に語っていただきました。

1.「あったらいいなアンケート」
約7年前から導入されているこのアンケートは、職員が「職場にあったら嬉しいもの」を自由に記載する形式になっています。例えば、リラックス効果を高めるために「マッサージ機がほしい」といった意見が出され、実際に導入された部署もあります。このように、職場環境をより快適にするためのアイデアが現場の声として反映される仕組みが整っています。
2. 「気づきシート」
業務の中で気づいた点や改善提案を記録する「気づきシート」は、業務の効率化に大きく貢献しています。特に、会議の議事録作成が職員の負担となっており残業をして作成することが常態化していた問題がありました。既に申し送りで情報やデータとして共有されている内容を重複して記録する無駄を省き、別紙参照やPCを活用することで効率化図りました。これにより、職員の負担軽減はもちろん、情報の精査と共有がスムーズになり、より質の高いケア提供に繋がっています。
3. 「職員アンケート」
職員アンケートは、職場環境や業務改善に関する意見を施設長へ直接提出できる仕組みです。施設長も一丸となって現場の声に耳を傾け、ともに問題解決に取り組む姿勢を大切にしています。集約された意見が、施設全体で共有され、適宜対応することで、より良い職場づくりに貢献しています。この窓口が整備されていることで、職員の意見が埋もれることなく、反映されやすい環境が整い、施設の一体感を醸成しています。

これら3つの取り組みにより、職場内のコミュニケーションが活性化し、業務改善や働きやすい環境づくりが進んでいます。職場の環境や業務フロー、さらには利用者様に関する情報共有もスムーズになり、組織全体の連携が強化されつつあります。
また、これまで会議でなかなか発言がなかった職員も、アンケートを通じて意見を伝えやすくなったことで、会議内での発言や活発な意見交換が増えてきています。組織内の円滑なコミュニケーションは、より良いサービス提供にもつながるため、今後もこうした取り組みの継続と発展が期待されます。
新規採用者育成支援について
きたの愛光会では、新規採用者の育成を重視し、入職後1年間を振り返りながら研修や支援を行っています。今回は、矢吹さんにインタビューし、具体的な取り組みについて伺いました。

1. 新規採用者の育成における工夫
新規採用者育成支援について、どのような工夫をされていますか?
私は入職して3年目になりますが、当初は介護の仕事に対する漠然とした不安や、利用者様とのコミュニケーションに緊張していました。しかし、先輩方や指導者の支えのおかげで、少しずつ自信を持って業務に取り組めるようになりました。
入職後1か月間は指導者と共に基本的な介助を学ぶ期間です。指導者が親身に優しく指導してくれるため、安心して利用者様と関わることができました。
また、当施設では1か月、2か月、半年ごとにスーパービジョンが実施され、成長を丁寧に見守りながら業務理解を深める機会が設けられています。基本的な介助技術の習得は進みましたが、利用者様とのコミュニケーションには不安を感じることもありました。特に「どんな話をすればよいのか」と悩むことが多かったのですが、まずは笑顔で挨拶することを心がけました。
介護の仕事では他職種との連携が大切ですが、他職種の方々も優しく声をかけてくれるため、職員間のコミュニケーションに対する不安はありませんでした。
2. スーパービジョンの担当について
スーパービジョンの担当者は決まっていますか?
私が入職した当初は、1か月間同じ担当者が付き、業務内容や日中の動き方を指導してくれました。継続的なサポートがあるため、不安を抱えることなく業務を覚えることができました。
※スーパービジョンとは・・・経験の少ない職員が、経験のある職員などから指導・教育を受けることをいう。
3. 他職種との連携と職場の雰囲気
他の部門の方や職場の方との関係性はどうですか?
職場には話しやすい雰囲気があり、他職種の方々からも積極的に声をかけていただけるため、利用者様に関する相談もしやすい環境です。
4. 入職後の研修について
入職後の研修はどのようなものがありますか?
入職直後には、新規採用者向けの研修が実施されます。例えば、食事の内容について学び、実際に利用者様と同じ給食を体験することで、介護に必要な知識を深める機会が設けられています。

きたの愛光会では、新規採用者の育成に力を入れ、指導者によるサポートやスーパービジョンを通じて、職員の成長を支援しています。職場内のコミュニケーションも活発で、他職種との連携もスムーズに行われているため、安心して業務に取り組める環境が整っています。今後も、新規採用者がより働きやすい環境を提供できるような取り組みが期待されます。
認証制度をきっかけにキャリアパスを見直す
大栄(おおさかえ)施設長に認証制度についての考え・思いをインタビューしました。

1.キャリアパスの見直しと認証制度の取り組み
介護業界において、職員の育成や働きやすい環境の整備は重要な課題です。きたの愛光会では、令和3年度に「ワークライフバランス認定事業所」を北見市から認定を受け、さらに認証制度の導入を契機に、キャリアパスの見直しを進めました。
認証制度を導入するにあたり、厚生労働省の方針と自身の考え方の違いを理解し、職員がどのように成長し、やりがいを感じながら働ける環境を整えるかを模索しました。その一環として、昇任・昇格制度の見直しや職員のキャリア形成を支援する仕組みの強化に取り組みました。
2.変化した職場環境と職員の成長
7年前に私が着任した際には、職員のモチベーションが低く、活気が感じられませんでした。しかし、数年後には目の輝きを取り戻し、成長を実感できる環境が整いつつありました。職員がキャリアアップできる仕組みを整備し、研修制度を充実させることで、入居者へのケアの質も向上しました。
また、北海道医療大学との連携により、職員教育の質を高め、ケアプランを従来型からより専門的なものへと進化させました。これにより、職員が自身の役割を明確に理解し、適切な支援ができるようになりました。
給与改定と認証制度の影響
令和4年に認証制度へエントリーしましたが、初回は不合格でした。しかし、意見交換を重ねることで、新たなキャリアパスの方向性を確立し、翌年には大幅な給与改定を実施。特に年功序列型の給与体系を見直し、若手職員が活躍しやすい仕組みを構築しました。
この改定により、認証を取得することができ、施設の評価も向上。養成校の先生方の見方が変わり、新卒者の採用が増加しました。また、「認証を見て応募した」という中途採用者も現れ、職員の定着率が向上しました。


(注 中学校の総合学習)
3.認証制度の意義と業界全体への影響
認証制度が全道に広がることで、介護職の地位向上が期待されます。令和3年からは、介護職の社会的認知度向上に取り組み、プロ意識の醸成を促してきました。認証を受けることで、「介護職は専門職である」という認識を広め、入居者や利用者に安心感を与えることができます。
また、職員の自己研鑽を促進し、研修内容の充実が求められるため、法人としても教育環境の整備に努めています。最近では、高齢者施設の交流会や意見交換会でも認証制度のPRを行い、他の施設からの関心も高まっています。

4.求職者へのメッセージ
介護業界で求職を考えている方は、まず働きやすさを重視し、施設の雰囲気や入居者の様子を確認することが大切です。見学を通じて、「自分の家族をここで預けられるか」という視点で判断することをおすすめします。
当施設では、令和3年・4年頃から職員の家族が入居するケースが増えてきました。これは、職員自身が施設の介護方針に信頼を寄せている証拠です。職員のプロ意識が高まり、安心して家族を預けられる環境が整っています。
求職活動をする際は、自分にとって最適な環境を見極め、働きがいのある職場を選んでいただければと思います。

社会福祉法人きたの愛光会
