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コラム

介護ロボット・ICTの導入は
介護の現場をどう変えるのか?
急速する高齢化を支えていくため、介護の現場の負担軽減を図り、働きやすい職場環境を整備していくことは不可欠。国や自治体では、介護ロボット・ICTの普及を促進し、機器を購入する事業所に対して補助を行っています。こうした機器の導入により、介護の現場ではどのような効果・変化があるのか。介護老人保健施設「コミュニティホーム白石」の副施設長・加藤健一さんにお話を伺いました。
リハビリ・在宅復帰・在宅生活を
総合的に支援する複合型の介護老人保健施設
コミュニティホーム白石は、1989年に開設した札幌で2番目に古い歴史を持つ介護老人保健施設。短期入所療養介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションといったサービスに加え、ショートステイセンター、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、ホームヘルパーステーションなども運営し、医療・看護・介護に関わる専門スタッフが質の高い介護支援を行っています。また、介護予防支援の拠点となる地域包括支援センターと介護予防センターも運営。居室は2人部屋・4人部屋を備え、現在は約100名が入居しています。

タブレットとインカムの導入により
職員の業務時間や体の負担が圧倒的に軽減

介護に関する電子機器については、まず10年以上前にタブレットを導入し、職員全員が介護の記録のために使用。それまでは手書きで行っていた記録が、タブレット入力により作業が効率的になり、情報が共有化され、入居者一人ひとりの状態を誰もが把握できるようになりました。職員の業務時間や体の負担の軽減につながっていると思います。
また、インカムの導入も業務の負担を軽減する大きな効果がありました。離れている場所でも情報を共有することができ、たとえば1階に浴室がありますが、2階や3階で働いている職員に「そろそろ入浴が終わりますので誘導をお願いします」と知らせることができ、動線の無駄な動きを軽減できたことは非常に大きかったと思います。
さまざまな介護ロボットを導入したことで
職員の負担軽減から介助の質の向上が実現
介護機器でまず導入したのは、「眠りSCAN(スキャン)」という連動カメラシステム。ベッドに設置したセンサーにより呼吸、心拍などの体動を測定され、パソコンやタブレットに映像とともに通知されます。これにより入居者の生活リズムの改善や健康状態の把握が可能となり、夜間でも効率的な見守りができ、職員の業務の負荷軽減につながる効果があります。



次に導入したのは「移乗サポートロボットHug」です。これは、ご自身で立ち上がることが難しい方の立ち上がり、トイレ・浴室などへの移乗をサポートする機器。介助する側は“持ち上げない介護”が実現して腰の負担が軽減し、介助を受ける側は安心して機器に任せて移乗することができます。近々、入浴の際にも使用できる防水性の機器を導入する予定です。
介助する職員に好評なのが「排泄支援システム」。トイレに設置したセンサーが排泄した便の状態を自動的に検知し、パソコンやタブレットに通知して記録するもので、入居者のプライバシーを守りながら職員のトイレに関わる業務負担を軽減します。この機器は、今後も増設していく予定です。
これらの電子機器や介護ロボットの導入により、職員の時間的負担、肉体的負担、精神的負担が軽減され、記録や情報が共有されることで、入居者に対してのケアの質が従来より向上しました。今後はナースコールと連動したカメラ付きの見守りシステムなどを導入する予定で、引き続き職員の業務負担の軽減を図り、介助の質の向上に努めていきたいと考えています。
社会福祉法人 渓仁会
コミュニティホーム白石
