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コラム

介護の魅力を発信し、介護の課題解決に取り組む
プロジェクトを推進する「KAiGO PRiDE」

KAIGO PIDE

深刻な少子高齢化が進み、2025年には65歳以上の高齢者が国民全体の3割を超える「超高齢化社会」が進行する中で、介護に関わる人材不足が課題となる日本。この状況の解決を目指し、介護の魅力を発信するプロジェクトに取り組む一般社団法人KAiGO PRiDEの理事・小口貴幸さんに、日本の介護について取り組むべきビジョンを伺いました。

介護人材不足が進行し、
ビジネスケアラーが増加
介護の課題解決は、
日本全体が取り組むべきミッション

わが国の介護・福祉業界では「2040年問題」といわれる大きな社会課題があり、2040年には約57万人の介護人材が不足し、高齢者や障がい者が必要な介護を受けられなくなると想定されています。介護就労者数は年々増え続けていましたが、2022年には離職した人が新たに働き始めた人を約6.3万人上回り、就労者は前年より1.6%減少。この傾向が続けば人手不足は深刻化し、「介護崩壊」を防ぐには待ったなしの状況が目の前まできています。また、仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」も年々増加し、2020年の約262万人から2030年には約318万人に膨らむ見込み。疲労や精神的負担により仕事に支障が出る、介護のために離職してしまうといったケースが増え、経済損失は約9兆円に上ると想定されています。

介護の仕事は、カッコいい。
介護の魅力を発信することで
ネガティブからポジティブへ、
社会マインドを動かす

KAiGO PRiDEは、介護に関わる人材不足という社会課題の解決を目指し、2019年に厚生労働省のパイロット事業として熊本県の「介護の魅力発信」プロジェクトからスタート。介護職が持つマインドのカッコよさを伝えるため、熊本県内の現役介護職員のポートレート写真とインタビューを中心とした動画「My Story」を制作し、「介護の日inくまもと2019」で公開しました。パイロット事業終了後もプロジェクトは継続し、2021年に一般社団法人として本格稼働。全国各地の介護福祉士会、社会福祉協議会、自治体などと協同し、介護の魅力を発信する活動を行っています。

KAiGO PRiDEが発信するメッセージの根幹は「介護の仕事は、カッコいい」ということ。誰よりもパワフル。誰よりもクリエイティブ。誰よりも理解してくれて、誰よりも寄り添ってくれる。誰よりも強い心を持ち、誰よりも優しい心を持つ人々。それこそが介護職の人々であり、そのマインドこそがカッコいいと言わせていただいています。一般的に介護職に対してネガティブなイメージが先行し、また完全に無関心という若い人たちも増えています。そういった社会のマインドをポジティブな方向にシフトさせ、多くの方に介護を職業の選択肢のひとつに入れていただきたいと思っています。介護のイメージを変えるためには、大きなムーブメントとして社会のマインドを動かすことが必要です。私たちKAiGO PRiDEが国政・地方行政・介護業界・企業・一般の方々をつなぎ、その役割を担っていきたいと思います。

私たちは、これまで全国で150名以上の現役介護職を撮影し、さまざまなコンテンツを制作して発信してきました。その中で、性的マイノリティー介護職、親子で介護職、夫婦で介護職、高齢者による介護職など、介護という仕事の多様性=介護の魅力の多様性を訴求してきました。また、コンテンツ発信に限らず、展示会や講演会、介護職と高齢者によるファッションショーなど、さまざまな角度から介護の魅力を広め、浸透させる取り組みを行っています。

「きつい、大変」といったイメージがありましたが、 実際はとても楽しく、すごく、やりがいのあるお仕事です。

どうしたら生き甲斐を持って毎日過ごしていただけるか、常に考え、実行する。その先にある笑顔が見たいから…。

※現役介護職の胸に灯る誇りを映し出すポートレート作品の数々。

社会全体が介護・福祉に関わる人を求める
新たな時代へ
介護職は、日本を幸せな国に押し上げる
重要なエンジン

国の豊かさを表す指標としてGDP=国内総生産があり、この20年間で世界全体のGDPは約2倍成長していますが、では2倍幸せになったでしょうか。GDPだけ増やしても人々は幸せにならないということに、世界は気づき始めています。介護のおける唯一の国家資格は介護福祉士です。福祉という言葉は「幸福」を意味しますが、資格の名称の中に幸せにするという意味が込められているわけで、これから新しい豊かさの国をつくろうとしたとき、介護業界の方々はその中心になっていくのではと思っています。社会全体の高齢化が進む中で、今後はあらゆる業界が介護・福祉の知識を持った方を必要とするはずです。日本がより一層幸せな国になるためにも 、介護職は重要なエンジンになっていくと思います。

持続可能な介護を実現するためには、介護という業界を越えて、さまざまなプレイヤーが結びつくことが必要です。これまでKAiGO PRiDEは、介護の人材不足解消を目指し、介護の魅力発信を前提としたブランディングを展開してきましたが、それだけでは解決できません。日本の介護がしっかりとクオリティを保ったまま継続していくためには、お金の流れや人の流れが必ず必要になります。そのためにも業界の枠を越えて人や企業が結びつき、国と地域連動する介護のエコシステム確立に向けて動いていきたいと思います。

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